【横浜・熟年離婚】の落とし穴|「年金分割」と「退職金」を正しく分ける方法<弁護士が解説>

長年にわたる夫婦関係を解消することになる場合に、離婚後に安心して第二の人生を歩むために避けて通れないのが「お金」の問題です。このようなケースにおいて、老後資金の柱の一つともなりうる「年金」の分割と「退職金」の分与は、その後の生活水準を左右する重要な問題であるといえるため、是非とも押さえておきたい事柄です。

本記事では、横浜で数多くの離婚のご相談を受ける弁護士の視点から、いわゆる熟年離婚で後悔しないための年金分割と退職金の財産分与のポイントを詳しく解説します。


❶| 熟年離婚における「お金」の特殊性

他の世代の離婚と異なり、まず押さえておきたい熟年離婚特有の視点は、「資産面でのリカバリーの難しさ」にあります。比較的若年世代であれば、離婚後にキャリアを築き直して収入を安定的に増やすことが可能な場合も多いですが、離婚時の年齢が、40代・50代・60代となるにつれて、このようなリカバリーが難しく感じる社会であることも事実です。このような場合、離婚時のタイミングで年金や夫婦で協力して形成してきた財産をいかに分けるかが重要です。

❷|「年金分割」で知っておくべき2つの制度

「年金分割」という言葉自体、あまり聞き慣れないものではあるかもしれませんが、「離婚時に夫の年金の半分がもらえるものだ」と思われるかもしれません。しかしながら、これは少しだけ不正確で、正しくは「婚姻期間中の厚生年金記録(報酬比例部分)を分割する」制度です。年金事務所にある年金の払込記録を書き換えるものだ、と考えるとイメージしやすいと思います。

年金分割は、分割の対象となる期間等によって、以下の2種類に分かれており、主に分割を受けるための手続が異なってきます。

●合意分割と3号分割

<3号分割>

 2008年(平成20年)4月以降の第3号被保険者(専業主婦など)期間分については、相手の合意なしに50%ずつ分割できます。次にご説明する「合意分割」と異なり、相手の合意や裁判所の手続が不要である点が特徴です。

<合意分割>

 2008年以前の共働き期間や専業主婦期間については、夫婦間の合意や裁判所の決定(審判や判決)などが必要です。離婚後に(元)夫婦で年金事務所に赴けば手続を行うことができますが、仮にこれが難しいような場合でも、公正証書を作成する方法や、裁判所における調停調書や審判等をもって、年金事務所においてご自身が単独で行うことも可能です。

<実務ポイント>

年金分割には期限があるということは、絶対に見落としてはならないポイントです。令和8年4月1日に施行された改正家族法においては、「離婚した翌日から5年以内」に手続きを行わないと、分割を受けられなくなってしまいます。「落ち着いてからで」と思っている間に期限が過ぎてしまうこともあり得るため、離婚とセットで考えておく必要があります。

❸|「退職金」は財産分与の対象になるのか?

離婚において最も問題になりやすいものの一つに「財産分与」がありますが、熟年離婚を考えるうえで非常に重要になってくるポイントが退職金です。結論から言えば、「すでに支払われた退職金」(※この場合には既に受領済みなので預金等に含まれることになります)はもちろん、「将来支払われる予定の退職金」も財産分与の対象となり得ます。

●そもそも財産分与とは?

「財産分与」とは、婚姻期間中に夫婦で協力して築いた財産を、離婚の際に公平に分け合う制度です。財産分与の詳しいお話はまた別の機会に譲りますが、夫婦で協力して形成した財産(共有財産)を、原則として2分の1ずつに分けることになるのが基本(2分の1ルール)です。

●将来の退職金が分与の対象になる条件

まだ退職前であっても、定年退職まであと数年であり、退職金が支払われる蓋然性(可能性)が高い場合は、財産分与の対象として認められるのが一般的です。また、近年では職種やお勤めの企業なども考慮し、定年退職まで期間がある場合においても、裁判所は離婚時や別居時までに積み上げた退職金を広く分与対象に含める傾向にあります。

●分与対象となる退職金の計算方法

退職金の全額を分けるわけではなく、あくまで「実質的な婚姻期間(同居期間とされることが多いです)に対応する部分」が財産分与の対象となります。分与対象となる退職金のおおまかな計算方法は次のようになります。

退職金相当額 ×(実質的婚姻期間 ÷ 勤続期間)× 1/2

❹| 後悔しないために~弁護士が介入するメリット

熟年離婚をはじめ、感情的な対立が深い事案では、当事者同士では「年金事務所へ一緒に行って手続きをする」といったことすら困難なケースが多々あります。また、「将来確実に受け取れるかどうかも分からない退職金を財産分与に含めることは認めない」などと、相手が退職金が分与対象となることを頑なに拒むような場合、ご自身で進めていくことには不安や困難さを感じることもあるかもしれません。

●年金分割の確実な実施

 たとえ相手の協力を得ることが難しい事案でも、相手の協力なく年金分割の手続ができるように、公正証書の作成や裁判所の審判・判決などを得ることが可能です。

●分与のための適切な主張と資産調査

 相手が退職金の分与を拒み続ける場合でも、裁判所に対して適切な主法的張を行い、必要に応じて相手の退職金の金額を調査します。

●公正証書の作成

 離婚後のスムーズかつ確実な年金分割を実現させ、また財産分与や養育費など、将来相手から金銭を払ってもらう約束をより確実に守ってもらうためには、公正証書を作成しておくことが非常に重要になってくるケースもあります。離婚後の生活を確保するためにご依頼者の権利をきつんと保護し、将来の不払いリスクに備えます。

■まとめ|第二の人生を安心してスタートするために

「熟年離婚」を検討されているなら、まずはご自身の権利とその実現方法を正しく知ることから始めてください。年金分割や退職金の分与は、制度が複雑な上に、一度合意してしまうと後から修正するのは非常に困難です。

「長年支えてきたのだから、当然これくらいはもらえるはず」という思い込みが、将来の生活を脅かすこともあります。まずは離婚問題の専門家へ相談し、シミュレーションを行うことが、穏やかなセカンドライフへの近道です。


●【馬車道駅徒歩5分】離婚でお悩みの方は、お気軽にご相談ください。

<横浜の離婚・無料相談>

弁護士 佐藤栄晃(Sato Hideaki)・・・神奈川県弁護士会所属(登録番号56339)

山本法律事務所  横浜市中区本町2-19弁護士ビル5階

お問い合わせはコチラ ☛ お問い合わせ | My Site 2