横浜・離婚<弁護士が解説>|別居は離婚にどう影響する?事前に知っておきたい注意点

離婚を決意したとき、すぐに家を出るべきか、それとも同居を続けるべきかで悩まれる方は少なくありません。実は、別居は離婚の進め方を考えるうえで重要な要素です。

法的な側面から見ると、別居は単なる生活の分離ではありません。離婚が認められるかどうかや交渉の進め方、さらには婚姻費用や財産分与にも影響することがあります。本記事では、離婚を検討している方に知っておいていただきたい別居の影響と、別居を進めるうえでの注意点を、弁護士の視点から解説します。


❶| 別居が離婚にもたらす影響

法律上、夫婦には同居の義務があります。もっとも、関係が既に壊れてしまっている場合など合理的な理由がある場合には、別居は離婚に向けた一つの選択肢となり得ます。

●離婚事由としての婚姻関係の破綻

裁判で離婚が認められるためには、法定離婚事由(民法770条)が必要です。配偶者が離婚を拒んでいる場合、性格が合わないという理由だけでは離婚が認められないこともあります。もっとも、一定期間の別居の事実があれば、婚姻関係が既に破綻していると評価され、離婚請求が認められやすくなる傾向があります。一般的には3年程度の別居が一つの目安とされますが、個別の事情によって変わります。要するに、別居の事実は婚姻関係の破綻を基礎付ける重要な要素となってくるということです。

●財産分与・婚姻費用との関係性

詳しくは別の機会に説明しますが、財産分与においては「いつの時点での財産を分けるか」という問題(これを「基準時」といいます。)があります。一般的に、別居済みの夫婦の財産分与においては、この基準時は別居日時点であると判断されることが多いです。したがって、別居日は離婚時の財産分与の問題とも密接な関係性を有します。また、別居の開始により夫婦の家計が別々となるため、別居後は相手方に対して婚姻費用(生活費)を請求していくことも重要になります。

●心理的な影響

同居しながらの離婚交渉は、生活の場を共有しているため緊張が続きやすく、冷静に話し合うことが難しい面があります。別居は、これ以上いまの関係を続けないという意思を相手に伝えることにもつながります。生活空間を分けることで感情的な対立から物理的な距離を取りやすくなり、弁護士を介した落ち着いた話し合いを進めやすくなります。


❷| 別居を進めるうえで押さえておきたい3つのポイント

別居を勢いだけで進めてしまうと、思わぬ不利益を招くことがあります。事前に準備を整えておくことで、その後の話し合いを落ち着いて進めやすくなります。

婚姻費用(生活費)の確保を計算に入れる

別居しても、離婚が成立するまでは夫婦の扶助義務が残ります。例えばお子様のいない夫婦のみの家庭の場合、収入の少ない側は、収入の多い側に対して婚姻費用(生活費)を請求できます。別居を切り出す前に、別居後の生活費をどのように確保するか、婚姻費用算定表も参考にしながら準備しておくとよいでしょう。特に相手が経済的に優位な場合、別居後の婚姻費用の支払いについてあらかじめ取り決めておくことで、生活の基盤を保ちながら離婚の話し合いに臨みやすくなります。相手が別居後に婚姻費用を支払ってくれないことが明らかであるような場合には、別居と同時に婚姻費用の調停を申し立てることが有効なケースもあります。

証拠の確保

別居のタイミングで、離婚の際に必要となる資料を整理しておくことが大切です。特に、相手の不貞(浮気)やモラハラを理由とする場合には、同居中にしか集められない資料があります。

  • ◉通帳などの資産状況の資料
  • ◉不貞の証拠(日記、メールなど)
  • ◉モラハラの記録(録音、メールなど)

 別居した後では、相手が資料を処分したり、閲覧できないようにしてしまうこともあるため、同居しているうちに準備しておくと安心です。

「悪意の遺棄」と誤解されないようにする

正当な理由なく家を出てしまうと、相手から「悪意の遺棄である」などと主張される可能性も否定できません。

  • ◉別居に至った経緯や理由(DV、モラハラ、不貞など)を整理しておく
  • ◉生活費の分担について話し合う姿勢を見せる
  • ◉書面(通知書など)を残しておく

これらを弁護士とともに事前に準備しておくことで、合理的な理由に基づく別居であると説明しやすくなります。


❸| 注意!別居後に起こりうるトラブルと対策

別居生活を始めてから慌てずにすむよう、起こり得るトラブルをあらかじめ知っておくことが大切です。

●子供の連れ去り問題

離婚を進めたいあまり、子供を無断で連れ出してしまうケースがあります。しかし、これは場合によっては子の連れ去りと受け取られ、その後の親権の話し合い等で不利に働くこともあり得ます。子供を連れての別居を考えている場合は、事前に弁護士へ相談し、進め方を確認しておくことをおすすめします。

●別居時に残してきた私物の回収

離婚を前提とした別居を開始した場合、相手の承諾なく自由に元の自宅を出入りすることが難しくなることがあります。別居の際に自宅に残してきてしまった私物があると、相手の承諾や協力が得られない場合には、それらを後に離婚協議や調停が始まってからスムーズに回収することができないというリスクが考えられます。別居の準備に関しては、この点も踏まえつつ慎重に進めていくとよいでしょう。


■まとめ|慎重に準備することが次の一歩を支えます

別居は単なる生活の分離ではなく、これからの生活を立て直していくための一歩でもあります。

一方で、勢いだけで別居を開始してしまうと、経済的な行き詰まりや親権等をめぐる法的リスクなどにつながることもあります。別居を進める際には、次の3つの視点を意識しておくとよいでしょう。

  1. ◉経済的基盤の確保: 婚姻費用を適切に算出・請求する準備。
  2. ◉法的な証拠保全: 同居中にしか集められない資料の準備。
  3. ◉スムーズな別居に向けて: 別居後のトラブルを回避し、その後の話し合いに繋げるための準備。

いつ、どのような形で家を出るか。 この判断によって、離婚の条件やその後の進み方が変わってくることもあります。一人で抱え込まず、まずは弁護士にあなたの状況をお聞かせください。別居前のシミュレーションから交渉窓口の一本化まで、あなたの権利を守るためのサポートを行っています。

これからの進め方を一緒に考えていくことで、精神的な負担をやわらげながら、納得のいく結論を目指していきましょう。


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弁護士 佐藤栄晃(Sato Hideaki)・・・神奈川県弁護士会所属(登録番号56339)

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